判例
S27.06.17 第三小法廷・判決 昭和25(オ)178 貸金請求(第6巻6号595頁)
判示事項:
相手方不在廷の場合における準備書面に記載もなく写の送達もない書証の提出。
要旨:
被告(控訴人)が数回適法な呼出を受けながら、第一、二審とも口頭弁論に出頭しなかつた場合、第二審裁判所が、準備書面に記載もなくまた写の送達もなかつた原告(被控訴人)提出の書証を採用して控訴人敗訴の判決をしても、控訴人において右書証が提出さるべきことを十分予想し得べかりし場合においては、右第二審裁判所の措置は違法ではない。
主 文
本件上告を棄却する。
上告費用は上告人の負担とする。
理 由
上告人訴訟代理人の上告理由は末尾添附別紙記載のとおりである。
記録によつて見ると上告人及その代理人は第一、二審とも正規の呼出を受けながら、一回も口頭弁論に出頭せず、被上告人は第一審において所論書証を提出し、第一審裁判所はこれによつて被上告人主張の事実を認定して被上告人勝訴の判決を為し、その判決は適法に上告代理人に送達されて居るのである。されば上告人は第二審において第一審裁判所の認定した事実が主張され、又その事実の立証資料たる所論書証が提出されるであろうことは十分予想し得べきことであつたものといわなければならない。そして所論民事訴訟法の諸規定は口頭弁論において当事者の予想し得ない事項があらわれ、これによつて裁判が為されることを避けんとする趣旨に出たものであるから、前記の如く上告人において十分予想し得べき場合においては、前記書証の写の送達がなく、又回証の提出さるべきことが準備書面に記載されなかつたとしても、原審が右書証によつて事実の認定を為し判決をしたことは違法でないものと解するを相当とする以上の理由により上告理由なしとし民訴四〇一条、九五条、八九条に従い裁判官全員の一致で主文のとおり判決する。
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 井 上 登
裁判官 島 保
裁判官 河 村 又 介
裁判官 本 村 善 太 郎